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- Several days before -
どれ位寝ていたのだろうか。
もうこのまま死んでしまえれば楽になれるのかもしれないのに
「お腹…空いた…な」
どうしてお腹は空くんだろう。
この家に唯一ある時計の代わりになる携帯電話に手を伸ばし開くと、時刻は18時を回っていた。
朝あんなことがあってから部屋に帰り、いつの間にか寝てしまったんだっけ。
全く動いていないのだからお腹なんて空かなくてもいいのに、決まった時間に提供される『団らんの時間』が規則正しいせいか、規則正しくお腹も空くようになっているようだ。
そう考えてふと、規則正しく声をかけてくるはずの主の声が聞こえてこなかったことに疑問が浮かぶ。
(どうしたんだろう…いつもなら寝ていても必ず起こしてくるのに)
それなのに夕食はおろか昼食すら声をかけてこないとは。
(でかけているのかな…)
ドアのノブが回ることでかぶりをふる。
(ここを開けっ放しででかけることはないな)
過去に内緒で夜中のコンビニに出かけたことがあった。それがばれて以降、家を不在にする時は私のいる部屋に外側から鍵をかけるようになった。
父親はその常軌を逸した妻に声をかけたが、すでに常軌から外れてしまった人にそんな常識は通じるわけもなく、わが子を憐れむような視線を投げかけるだけで終わってしまった。
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