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考えはまだまとまっていないけど、このままだといけないのは決まりきっている。
周さんの消耗も考えると、ここで新しい1手を打たないといずれは2人ともダメになってしまうだろう。
そう考えて無我夢中だった。
妙案か愚策かを考えている暇も、そんな頭もなかった。
きっと深く考えていたら、いつものマイナス思考が邪魔をしたかもしれない。
ただ何とかしたい一心だった。
傷つく人を見たくなかった。
「周さん、もうやめて!」
なんとか動く左腕を伸ばして制服の端を掴み、手ごたえを感じるとそれを入れられる限りの力で引っ張りながら出来る限りの声をあげる。
汗でしっとりとした体が引き寄せられるようにしてふらつき、後ろに倒れ込んでくるのを確認すると、そのまま左腕を伸ばしたまま叫ぶように唱えた。
「ス…キルコードっ!『毒風』……『神便鬼毒』に!」
カードがふわりと浮かび上がりそれが瞬時に燃え尽きると、紫色の風に乗って甘ったるい水が混ざり合う。
それは風に運ばれるようにして霧散すると、あたりに霧を立ち込めさせる。
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