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支えた合った体の先、薄赤い体の酒呑童子は錫杖を杖のようにして片膝を立てて何とか姿勢を保っているような状態で、着ていた大格子の着物はところどころ破け、その奥にある身からは体よりも赤い血がいくつも出ていた。
私が放った霧を避けるようにして姿勢を低くしていた他のプレイヤーがそのすぐ近くにしゃがみこんでいて、剣先には同じ色の血がついている。
「客僧達よ。お前達の言葉を信じたのにこの仕打ちか!我々鬼は卑怯なことなどしなかったのに!」
ぎりぎりと歯をこすり合わせるも、体中に力が入らなくなってきているのか、その表情と気迫で何とか私達を威嚇する以外のことは出来ないようだ。
それを私よりも早くに把握したプレイヤーが他のプレイヤーに宣言するかのように叫ぶ。
「酒呑童子を倒すのはおれだぁああ!」
「させるか!」
討伐が目前になったのを理解し、まだ動くことの出来るプレイヤーがその首を狙って駈け出す。
目の前の巨体は意識はあるものの完全に沈黙していて、後1撃誰かが致命傷を与えれば倒れてしまいそうだった。
それを誰よりも先にやろうとプレイヤー同士が刃をこすり合わせる。
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