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本当ならそれに参加して早くクリアしなければ、ここまでやっていたことがまるで無駄になってしまうのに、私は相変わらず左腕と頭位しか満足に動かせず、その左腕と動かない体で何とか周さんと支え合っているような状況だった。
周さんの方も同じように考えているハズだけど、未だ呼吸が整わない自分の体を持て余すように、私に寄り添うようにして支えてくれている。
ちらりと先に折れてしまった武器を見ているから、多分私と違って動くことは出来るだろうけど、無理して動かしたその先に続く一手がちゃんとした結果を残さないものだと意味がないと、そこまで考えて機会を待っているのかもしれない。
「ここまできて…」
その心情がぽろりと零れる。
その後に続く言葉も想像出来るけど、それを聞いてもどうにも出来ない。
(本当にどうにも出来ないの…)
体は相変わらずの倦怠感で、さらに無理してスキルを使ったからか、少しずつ回復してきたように思っていた体が鉛のように重たい。
気を抜いてしまったらここで気を失ってしまいそうな位体が眠気を訴えている。
(ダメ…)
動けない1匹の大鬼の周りで耳障りな衝突音が響く。
それが鳴り終った時、本当のクエストの終了になってしまうけれど、早くこの耳障りな音をどうにかしてほしい。
他人事のような願いが浮かぶ。
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