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「貴方は洋裁をやるじゃない?
服を作ってもらえれば、得じゃない?
もちろん、教えてもらえば自分でも作れるでしょ?」
真紀は洋裁が趣味で、娘に服や小物を作っている。
お世辞半々だろうが、なかなか評判もいいらしく
よくママ友達から
「うちの子のも作ってよ。」
等よく言われて辟易していた。
娘の友達なら、快く快諾した。
だが、そんな事を言ってくるのは
大抵、仲良くもなんともない。
その場だけ近づいてくるママなのだ。
真紀はその度にやんわりとかわしていたが
キツいイメージとはうらはらにNOと突っぱねられない真紀は
材料費は払うわよ!?
という強引に話を進めてくるママ友を
断れずに
到底足りない材料費にため息をつきつつ
自らの少ないおこづかいで材料を買い、
その時のみ、近づいてくるママ友の為に服や小物を作っていた。
またか…
真紀の内心ウンザリして邦子を見上げた目はウンザリ。寂しい。虚しい。
そんな気持ちがない交ぜになって表れていた。
あまりな事を言われると
人は怒りよりも、まず呆然となり
無性に虚しくなり笑ってしまうのだ。
真紀はそう思った。
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