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とても、とても静かな、よる。 わたしは、静寂を愛でるタチだ。深夜から、夜明けにかけての時間を、たまらなく愛している。 今にも世界が滅んでしまいそうな、そんな空気。透き通った景色。 ─────そうだ。この世界から人間が消滅してくれれば、この不快な雑音も、生暖かな温度も、感じなくて済むのに。 なんて。 そんな戯れ言を心の内で吐き出しながら。わたしは、わたしの下で大の字になって寝転がる兄を、見下ろした。
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