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「あーあ。ダメだよ?お兄ちゃん。そんな暴れたら……ってゆーか、暴れたって、自由になるワケじゃないんだから……ね?」
兄の両手首は、赤みを帯びていた。動くたび、ジャラジャラと音を立てるそれは、まるで西洋の話に出てくる囚人を連想させる。
小刻みに震える、彼の身体。
────恐怖。…じゃ、ないな。『期待』、かな。………何に対して?
抵抗を諦めたのか、兄は微動だにしない。ただただ、息を弾ませている。
顔を覗き込むと、熱っぽい吐息を感じた。紅潮した頬に、そっと指を伸ばしてみる。
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