刻印

5/7
前へ
/26ページ
次へ
「………っ!!」 兄の身体が、ビクリと、跳ねた。いくらなんでも大袈裟だと、半ば呆れる。 「ねえ、手錠…外してほしい?」 ベッドの手すりと兄の手首とを繋ぐ鎖を、無造作に揺さぶる。無機質な手錠と、彼の皮膚との境目を、指で なぞった。 「え…………」 戸惑いの声。さっきまで、あんなに暴れていたクセに。 「辛いんでしょ?したくて堪らないんでしょ?じゃあ……、自分で、すればいいじゃない」 手錠に、手を掛ける。 「や、やめ……っ!!………触るな!!!」
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加