逃げの先へ、不器用に。

一

身分の違いはない。
人は等しく人であり、肌の色や国や、出生地や仕事で、身体に精神における障害を持っていたとしても、そこには差別も区別もない。そこに身分の違いはない。なぜなら人は等しく人であるのだから。
そんな事は絵空事だった。
肌の色や出生によって差別も区別もされる。自分の肌の色と違う人や、違う国の人を見、差別されてきた出生地の人だと聞き、自分が快く思っていない仕事をしていると聞き、身体や精神に障害を持っている人を見た時に、自分と等しいと思うのだろうか。差別とまではいかないが区別はするだろう。
しないという方がおかしいとさえ思っていた。
自分の中の闇に浸かり、私は、言葉を歪めて受け止めていた。