第一夜

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先月高校を卒業した翠は、香夜の実家から山奥に入った所にある家に一人暮らしをしていた。 就職も進学もしない彼は、世間的な言い方をすれば「ニート」というやつになるのかもしれない。 ただ違うのは、彼が望んで働かないのではなく、養父にあたる香夜の父が、彼の進路を拒んだ為だった。 彼には使命がある、と言っていた。 翠の生い立ちは複雑で、香夜も詳しくは教えて貰えていない。 それどころか、父さえ知らない事があるらしい。 ともかく。 水上の家の者は、翠を養護する使命がある。 それが幼い頃から教えられてきた家訓。
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