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俺の気持ちを信じて欲しい。
でも、紫音は両手で俺の胸を押す様にして、囲いの中から脱出しようともがく。
「一目惚れなんて……してないくせに……」
「なんでそう思うんですか?」
紫音はギュッと下唇を噛んで、俺の顔を睨んだ。
「好きな人がいるって……去年からずっと思ってる人が……その人の笑顔が見たいって……言ってたじゃないか」
「……あぁ、あれですか」
以前に、好きな人について聞かれた時の事か……
大学構内の修繕のアルバイトで、初めて紫音を見掛けたあの時から…………
「一目惚れなんて、もっともらしい嘘じゃないか」
「紫音……先輩……」
ぷいっと横を向く姿が、ヤキモチ妬いて拗ねているみたいに思えて、俺の鼓動が跳ね上がる。
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