決心

11/18
765人が本棚に入れています
本棚に追加
/295ページ
俺の気持ちを信じて欲しい。 でも、紫音は両手で俺の胸を押す様にして、囲いの中から脱出しようともがく。 「一目惚れなんて……してないくせに……」 「なんでそう思うんですか?」 紫音はギュッと下唇を噛んで、俺の顔を睨んだ。 「好きな人がいるって……去年からずっと思ってる人が……その人の笑顔が見たいって……言ってたじゃないか」 「……あぁ、あれですか」 以前に、好きな人について聞かれた時の事か…… 大学構内の修繕のアルバイトで、初めて紫音を見掛けたあの時から………… 「一目惚れなんて、もっともらしい嘘じゃないか」 「紫音……先輩……」 ぷいっと横を向く姿が、ヤキモチ妬いて拗ねているみたいに思えて、俺の鼓動が跳ね上がる。
/295ページ

最初のコメントを投稿しよう!