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「…………」
俯いた紫音が、僅かに顔を上げる。
「紫音先輩の側にいたいんです……ダメですか?」
紫音が、キュッと閉じていた口唇を開いた。
「叔父さんに……何か……聞いたの?」
「何かって言うと……?」
「…………」
紫音は口を閉じたまま、身を硬くする。
その反応で、言いたい事が分かった気がする。
紫音がゲイである事と、それが原因での両親の離婚問題……紫音の過去のトラウマについてだろう。
本人の過去……それも、他人に知られたくない事実を、本人の知らないところで話される事は、不快に思うに違いない。
でも……知ったからこそ、後には引けない。
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