決心

15/18
765人が本棚に入れています
本棚に追加
/295ページ
「…………」 俯いた紫音が、僅かに顔を上げる。 「紫音先輩の側にいたいんです……ダメですか?」 紫音が、キュッと閉じていた口唇を開いた。 「叔父さんに……何か……聞いたの?」 「何かって言うと……?」 「…………」 紫音は口を閉じたまま、身を硬くする。 その反応で、言いたい事が分かった気がする。 紫音がゲイである事と、それが原因での両親の離婚問題……紫音の過去のトラウマについてだろう。 本人の過去……それも、他人に知られたくない事実を、本人の知らないところで話される事は、不快に思うに違いない。 でも……知ったからこそ、後には引けない。
/295ページ

最初のコメントを投稿しよう!