運命と言う名のカフェ

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土地柄、研究所や大学病院の関係者が客層の大半を占めていた。 が、金銭的に余裕のない大学生には馴染みのない店だろう。 僕はこの店で、同じ大学の生徒の姿をまだ見た事がなかった。 ――だからこそ、ここは僕の隠れ家だったのだ。 カフェから自転車で五分程度の所に、叔父さんの家(つまりマスターの家)がある。 雑木林を抜けた所で、人家は疎らにあるが大きな通りもなく、昔からの集落で、今だに玄関の鍵が開けっ放しの家が多い。 平和な所なのだ。
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