第3恋

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次第に見えてきた、見慣れたスーパーマーケット。 ようやく変な空気から解放されると思うと、ほっと胸を撫で下ろした。 空いていた駐車場に車が止まったことを確認して、シートベルトを外す。 「先生、本当にありがとうございました!」 「いや、どうってことじゃない。でも買い物の荷物とか持って歩くの、大変じゃないか?」 「いえ大丈夫です!いつもそうだし、買うものも少ないので。それじゃ、失礼します」 「あぁ、気を付けて」 車から降りて、もう一度先生に笑顔で手を振ってから小走りでスーパーの中に入った。 スーパーの中からしっかり先生の車が出ていくのを確認して、やっと張りつめていた糸が切れる。 今回のことでよく分かったけれど、3人の身内でもない男子と暮らしていることがバレたら思っていた以上にまずいかもしれない。 私たちの中では仲間とか家族とか、そんな風に片付けられるけど、他人から見たらおかしいと思うのが当然だ。 今まで当たり前のように過ごしてきたから、全然危機感がなかったけど。 学校に知られたら、私じゃなくて3人が責められる。 私に親はいないから、学校側がすべて責任を持っているわけだし。 私に何かあったら、責任を問われるのは学校だ。 そうならないようにするためにも、彼らとの同居も、彼ら以外の男の人との接触もなるべく避けた方がいいのかもしれない。 「……あは、何かおもしろっ」 楽観的思考の私はすぐに切り替えて、少ない買い物を始めた。 やっとの思いで辿り着いた家の灯りが点いているだけで、今の私には幸せで。 彼らと出会う前までは、1人きりで真っ暗な家に帰ってくるけど、『ただいま』も『おかえり』も意味なんてなかった。 だから。 「おかえり!悠!」 「おかえりー」 「おかえり、悠……」 「にゃぁ~」 こんな些細な言葉を聞くだけで、胸がじわりと熱くなるんだ。 「ただいま!!」 この大切な場所を失いたくない。 この場所とこの笑顔とこの幸せを、私が守っていかなくちゃ! そう心から思いながらバタン、と閉まったドアの向こうは。 すべての物が眠りに落ちたように、密やかだった。 .
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