第3恋

22/37
前へ
/842ページ
次へ
4月最後の、週末。 しばらく雨続きだった空は、雲一つなく冴え渡っている。 今日は、5月3日に20歳の誕生日を迎える柚夢の誕生日プレゼントを買いに。 仕事の大和と柚夢以外の5人と、アメリカンビレッジに来た。 「お、これなんかいいんじゃね!?」 「ぶは!どう見ても空雅が欲しいだけじゃん!」 「ちっ、ばれたか」 帽子好きの空雅は、オシャレなハットを被って決めポーズ。 ナルシストっぽくなければ、素直にカッコいいって言ってあげるんだけど。 「……これは、何の意味があるんだ?」 「きゃははっ!築茂、それ最高!」 星形のサングラスなのに、透け透けでサングラスの役目を果たしていないことに疑問を持ったのか。 めちゃくちゃミスマッチの光景に、私はふき出した。 「ね、こっちにいろんな種類があるよ!」 と、煌が目を輝かせて手を招く。 「ヒゲつきサングラスだって~」 「それ日向がつけてみなよ」 「えー煌に譲るよ!」 「俺が、つける」 さすが玲央、羞恥を怖がりません。 「へぇ~今時ってこんなにおもしろいサングラスがあるんだねぇ。熔けてきちゃったサングラスとか、アメリカ地図サングラスとか!」 「悠!これやべーよ!もっと熔けてるサングラス!サングラスじゃなくてもう顔の半分じゃね!?」 「あ!それいいね!今度、動画撮るとき、それかけなよ!ウィッグ被ってそれつけたら絶対におもしろい!」 「全く、お前の発想力は恐ろしいな」 「何、築茂もやりたくなった?」 「はは、一生やらん」 そんな会話をしながら6人でサングラスを見ていると、柚夢へのプレゼント第一号を見つけた。 「音符サングラス!?レンズないじゃん!」 「だからいいんだよ~。あの柚夢にこれって最高過ぎて直視できないかもっ」 煌の言った通り、ト音記号のサングラスは何の意味もない、ただ受け狙いのサングラス。 「悠の悪戯心は常に満載だね」 「それは褒め言葉だよね?日向くん?」 「……もちろん」 よし、これを購入! .
/842ページ

最初のコメントを投稿しよう!

343人が本棚に入れています
本棚に追加