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心配かけないように笑って誤魔化すけれど、みんなの顔は真っ青。
「…っ…うぅ」
「我慢して。冷やさないと跡が残っちゃう」
氷をビニール袋に入れたものを、日向は私の足に押し当てた。
あまりの冷たさに全身に電気が走ったように痺れる。
「おい日向、何でこんなことになってんだよ!?」
「大和!私が集中していなくて勝手にやっただけだから。日向を責めるのは違うよ」
「……悠、大丈夫?」
「大丈夫だよ、玲央。みんなも心配かけてごめんね。冷やしていれば大丈夫だから」
「マジでビビった~!!俺、寿命縮まるところだったわ!」
「本当にごめんって。でももう大丈夫!ありがとね」
胸を撫で下ろした空雅にも苦笑したけど、みんなに見られているのが何だかすごく居心地悪かった。
こんなことでみんなは顔を真っ青にしてしまうくらい、私に何かあることを怖がっているのかな。
火傷なんて、大したことないのに。
「足、少し腫れているな。ソファに横になって冷やせ」
「わっ!」
日向から氷を奪い取るようにした築茂はそのまま、私の身体ごと抱き上げた。
リビングのソファに優しく下ろされて、築茂の指が私の足を滑る。
ひんやりとした感触に、鳥肌が立った。
「病院、行く?」
「まさか!大したことないって!」
「あぁ、このくらいなら大丈夫だろ。冷やしておけばすぐに腫れも引く」
煌の言葉に全力否定すれば、築茂も首を振ってくれた。
あぁ……よかった、こんなことでいちいち病院に連れていかれてたら身が持たないよ。
ちらっとまだキッチンにいる日向と目が合うと、パッと逸らされた。
……うわ、やっぱり何かやらかしたんだ私。
そんな日向を大和は無言で睨みつけているけど、すぐにリビングへと戻ってくる。
もし私が日向のことを考えていたから、なんて知ったら戦争が起こるに違いない。
「で、何を考えていた?」
「へ?」
「お前が集中していないなんて、よっぽどのことを考えてたんだろ。何を考えていてこうなった?」
「……えっと」
やばい、つい今、言った時のことを考えて身震いしていたっていうのに。
一番聞かれたくない築茂に捕まってしまった。
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