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自分でも顔が引きつっているのがよく分かる。
そんな乾いた笑みを浮かべている日向を、一番驚いた表情で見ていたのは、大和だった。
「ここにいる誰を、一番愛しているの?それとも……ここにいない誰か?ねぇ、悠。答えが出たならしっかり言わなくちゃ。俺たちの気持ちで遊ぶのがそんなに楽しい?」
「ちょ、ちょっと待ってよ日向!めちゃくちゃ誤解してるって!」
「誤解?でも愛してる、ってあんな幸せそうな顔して……あの時、俺がどんな想いだったか分かる?」
誰か日向を止めて、と目で訴えているのに、4人もこんな日向に驚いているのか、誰も口を挟まない。
「ねぇ……悠の心を奪ったやつは、誰……?」
ひぃいぃぃぃ!
無理無理無理、こんな日向の声と表情には耐えられないです!
「ごごごご、ごめんなさい!!!言うから!ちゃんと言うから、それ以上近付かないで!!」
「……近付かない、で…?」
あ、れ……私今、とんでもないこと言わなかった?
一度口走ってしまったものは後戻りなど出来るはずもなく、恐る恐る顔を上げて日向を見上げると。
「……っっ…!」
感情を殺した、能面のような表情をしていた。
「日向!!」
大和が焦った表情で日向の肩を掴み、一度私から遠ざける。
「悠……」
柚夢が、壊れ物を扱うかのように私の頭を優しく撫でた。
うっそ……私、日向になんていう顔をさせてしまったんだろう。
一度、自分が言った言葉にどれほどの棘があったのか、考えもせずに。
私はまた、無意識に人を傷つけてしまった。
「ごめん……悠…っ…!」
大和と煌が、日向を落ち着かせるようにソファに座らした後。
日向は顔を両手で覆って、喉の乾いたような声で私の名前を呼んだ。
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