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「……ったく、驚かせんなよ」
と、柔らかい沈黙を破ったのは頭を乱雑にかき乱した大和。
「とりあえずこれで、丸く収まった感じ?なら早くご飯食べたいんだけど。僕、お腹すいたー」
「飯!?俺らも腹減ったー!な、レオレオ?」
「ん。すいた」
一体どこから湧き上がってきたのか、柚夢のご飯という単語に空雅と玲央が顔を出した。
「みんな、何かいろいろごめん。今すぐに作るね」
「あ、私も……」
「悠はきちんと足、冷やしておいて。パスタはもうないから、もんじゃ焼きでもやろう」
「お、いいねぇ!もんじゃなら俺も焼けるし」
立ち上がろうとした私を日向がやんわりと止めて、煌が服の袖をまくる。
たまには、こういうのもいいかも。
「うん、じゃお願い。楽しみにしてるね」
「まかせて」
すっかりいつもの調子に戻った日向は、早速キッチンへと向かった。
誤解も解けて、日向が怒っていた原因も分かってよかったぁ。
「はぁ……悠、もう一度足見せろ」
意味深なため息を吐きながら私の足元に座り込んだ築茂は、そっと火傷した部分を撫でる。
こういう対処が一番出来るのは以外にも築茂で、こう見えてかなり心配してくれている。
「悠、これからは本当に気を付けて。悠の身体に跡や傷が残るなんて嫌だから。たとえそうなっても、永遠に愛してるけどね」
「はいはい、ありがとー」
さらっと臭いセリフを言える柚夢には、適当にあしらっちゃうけど、本当はすごく嬉しい。
着替えてこよー、と部屋に向かった柚夢と入れ替わるようにして私の首に腕を巻いてきた、玲央。
「玲央、どうしたのー?」
「……ん。悠、いい匂いする」
「玲央もするよ。っていうか、たぶん同じ匂い。同じシャンプー使ってるんだから」
「そう、だね」
「レイにご飯はあげた?」
「あ、まだ」
「あげてきな。拗ねちゃうよ」
「ん」
向かいのソファに座る大和と築茂の視線に気付いて、玲央を身体から離した。
玲央が私にくっついてくることは日常茶飯事だから、だいぶ慣れて来てくれたんだろうけど。
私がまだ、あの視線に耐えられないのです。
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