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玲央のあまり見られない苦笑も炸裂。
「玲央の妹、ってロシアにいるんじゃなかったの?」
「そう、そのロシアから来るんだって」
柚夢が、不思議そうに首を傾げる。
玲央の出身や目のこと、それぞれの家庭の事情なども柚夢はすでに知っている。
誰からというわけでもなく、そんな話の流れになった時、隠す人は誰1人いなかった。
「マジかよ?まさか、ここに来るとか?」
「当たり前でしょ、まだ11歳なんだから。5月4日から7日の4日間いるって」
「そうなんだ。よかったね、玲央」
「……ん」
あまり子供が得意じゃない大和は引きつり顔で、日向の笑顔に玲央は曖昧に微笑んだ。
「楽しみだなぁ、玲央の妹と会うの!でも、まさか1人で飛行機に乗って来るわけじゃないでしょ?」
「ハンディさんがついてくるって」
「ハンディって誰?」
大和とは正反対に、胸を躍らせている煌。
柚夢はハンディを知らないし、煌と大和以外もハンディに直接会ったことはない。
「うわー、あの野郎が来るのかよ」
「大和くーん、あの野郎じゃないでしょー」
「だってあいつ、のこのこと1人暮らしだった悠の家に入り込んだんだぞ。しかも夜に!マジで、あの時は焦ったし」
「ちょっと大和、僕はその話、聞いたことないんだけど」
目を光らせた柚夢を見た私は、静かに大和を睨んだ。
全く、これ以上余計なことを言うなって。
とりあえず軽くその時のことを話して、全然悪い人じゃないってことは伝えた。
「でも何か玲央、あんまり嬉しくなさそうだね」
「………」
やっぱり煌がいち早く玲央の様子に気づいて、ちょっと曇りがちの玲央の顔を覗き込む。
「妹ちゃんに会うの、嫌だとか?」
「違う」
「じゃぁ、どうして?」
「……」
優しく問いかける煌に、玲央は黙秘権を発動。
「煌、そのうち分かるって前言ってたから。今は別に分からなくても大丈夫でしょ」
「そっか。玲央ごめんな」
「ん」
「はいはーい!そんな空気はこの空雅様にお任せあれ!今からクイズを出しまーす!
と、空気は読めないけど空気を変えることが得意な空雅によって。
30分ほど、意味の分からないバカげたクイズ大会が繰り広げられた。
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