第1恋

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新担任も興味津々に耳を傾けていて、さっきまでの迫力はいずこへ!?って感じ。 「噂では聞いたことあったけど、悠って本当にすごいんだね!」 隣の席の陽斗が、もともと輝いている目をさらにギンギラギンにしている。 “すごい”ってよく言われるけど、私からしたら特にすごいことは何もしていないんだけどな。 「ありがとう。でもただ音楽が好きなだけだから」 「……かっけぇー!!みんなー、悠がすんげぇカッコいいこといってる!!」 うわ、いきなり叫ばないでよ。 新担任も含めて全員の視線が私に集中するし、もう私は聖徳太子でも耳が10個もあるわけじゃないんだから、一気にしゃべるな! 「はいはい、静かに!でも本当に神崎はすごいんだな。それにそんな神崎を尊敬しているお前たちもすごい。いいクラスに恵まれて俺は嬉しいよ」 新担任のカッコいいセリフに女子たちはキャーとか叫んで、男子は憧れの眼差し。 うん、まぁいいクラスになるねこりゃ。 ふっと頬を緩めて、もう一度窓の外の青空を眺める。 こんなに、気持ちのいい春のスタートを切れたのは初めてだ。 ずっとずっと、こんな幸せが続きますようになんてことは望まない。 私の性格だと、変化のない生活はつまらないから、ちょっと辛いことや苦しいことがあったほうが生きてるって感じがする。 ずっと同じ幸せが続きますように、じゃなくて。 どんなことがあっても、幸せだなと想える心でいられますように。 そう、願う。 「じゃ、後はお昼の後に掃除をしてHRをやったら終わりだ。春休みの課題は明日提出してもらうから、まだ終わってないやつは今日死ぬ気でやれよー」 「げっ……」 新担任の言葉にいち早く反応したのは、常に学年ビリの月次空雅くん。 何やら熱~い視線がどこからか送られているような気がするけど、完全無視。 「悠ー!!助けてー!!!」 いやいや、今日は録画する日だし君が課題なんてやってる暇ないんですけど。 その想いをこめて睨めば、ヒッ!と首を縮ませてガクッと机に頭を落とした。 .
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