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しばらくそんな状態で見つめ合っていると。
「あれ、玲央の携帯鳴ってない?」
「……ん」
最近になってやっとまともに携帯を使えるようになった玲央の黒いシンプルな携帯の着信音が、微かにだけど聞こえてくる。
身体を起こした玲央は、リビングを出て行った。
ほんの数分待っていると、携帯を手に持った玲央が帰ってきて。
「今、空港を出たって」
「そっか。じゃぁあと1時間半くらいだね。煌たちもあと1時間くらいだろうし、お昼作らないと」
薄らと微笑んだ玲央に、頷いてソファを立ち上がった。
「ロシアってどんな料理食べるの?日本料理は食べれるかな?」
「ん。日本料理が、いいと思う。楽しみに、してるから」
「そっか。瑠璃ちゃんとハンディに嫌いなものってある?」
「瑠璃は、トマトがダメ。ハンディは、たぶん…大丈夫」
「分かった。それじゃぁ、刺身にしよっか」
「……刺身、やった」
「あーもう!玲央可愛すぎる!!」
「………」
明日はバーベキューでお肉だし、夜は沖縄そばでも作ろう。
睡眠、漫画、ご飯が大好きな玲央は、普段あまり見せない輝いた瞳。
ちょっと単純なところが可愛くて、私のツボ。
「何々!?今日の昼飯は刺身か!俺、サーモンたくさん食べるからな!」
「分かってますよー。愛花、何だって?」
「明日来られるって。な、花火もやろうぜ花火!」
「そうだね。煌たちが帰ってきたら買い物に行かないと。ってかお前は課題どうなってるのかな?GWはどっさりとあるけど、終わるのかな?」
「……オレニホンゴワカリマセーン」
「OK.Did you finish your homework?」
「……ごめんなさい。嘘です」
「よろしい。今日の夜は寝れないと思いなさい」
「な、なな何その期待と不安が入り混じったセリフ!?」
「はい?何を期待してんのよ。あんたの相手は愛花でしょ」
「わ、分かってるって!!」
バカみたいに顔を真っ赤にしてあたふたしている空雅を見て、私は爆笑。
リビングのテーブルを片付けていた玲央も、肩を揺らしていた。
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