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もちろん刺身だけじゃ足りないから、ゴーヤーチャンプルーとけんちん汁も作る。
人数が多いから、やっぱりこういう時に日向がいてほしい。
「日向、早く帰ってきてくれないかなー」
ぼそっと小さく呟いてから数秒、リビングから玲央の視線を感じて顔を上げると。
「………」
「玲央、どうかした?」
「……ん。何でもない」
すぐに口元に微笑を滲ませて、首を横に振った。
「ただいまー!」
と、煌の通った声が玄関からキッチンまで聞こえて。
「おかえり!待ってたよ、日向!」
「え?ちょっと悠、何で日向だけなの?」
「そりゃもちろん、日向は料理がうまいからだよ。煌の料理は壊滅的だもんね」
「えぇー……まだそれ言う?」
「あははっ!」
最初に納得いかなさそうに顔を出した煌を笑い飛ばした。
「瑠璃ちゃんたち、あと30分くらいで着くって。お昼ご飯、作ってる」
「もちろん手伝うよ、悠」
「日向がいないと無理です!」
「それは嬉しいな」
荷物を置いてすぐに手を洗い始めた日向が来たからには、一安心。
「何か、足りないものある?」
「あ、明日ね。空雅がバーベキューやろうって。だからお肉と花火を買いに行かないと。まぁそれは明日でいっか。一応今日の夜は沖縄そば!」
「空雅らしいなぁ。もう花火の時期ですか」
「バカはなぜ火薬が好きなのか、不思議だな」
後から入ってきた築茂は、ふっと鼻で笑いながらも楽しそうだ。
「煌、コンビニでアイス買ってきてくれる?あと三ツ矢本舗でサーターアンダギーも!」
「分かった。人数分?」
「うん!だから合計、10個ずつ!適当にランダムでいいよ~」
「了解。築茂、手伝え」
「なぜ俺が……」
「いいからいいから」
帰宅して早々、また車へと引きずりこまれた築茂に心の中で拝んだ。
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