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ピンポーン、と。
コンビニからすでに帰ってきている煌と築茂がここに居る限り、チャイムを鳴らしたのは。
「来た!!」
瑠璃ちゃんと、ハンディさん。
ちょっとした緊張感に駆られながらも、玲央と一緒に玄関へと向かった。
玲央がゆっくりと、扉を開けた瞬間。
『お兄ちゃん!!』
金色にところどころ茶色が混ざった、肩まであるくるくるの髪の毛に。
瞳はグリーンで、お人形さんのような可愛い女の子が、勢いよく玲央に飛びついた。
『瑠璃、よく来たね』
『すごくすごく会いたかったよぉ~!!』
『俺もだよ』
ロシア語なのか何なのかよく分からない言葉で話しているけど、雰囲気から感動の再会の場面。
その後ろから入ってきたのはシルバーブロンドの髪をオールバックにして、あの時と何も変わらない黒いスーツ、黒いネクタイをしたハンディさん。
唯一違うのは、黒いサングラスをして
いないってことくらい。
そりゃそうか、こんな女の子を連れてたら誘拐犯だと思われそうだし。
「……お久しぶりです。神崎様」
「遠いところからよく来てくれました!ハンディさん」
青みがかかった灰色の瞳を柔らかく細めているハンディさんに、私は手を差し出した。
快く、握手を交わしてくれたハンディさんにもう一度微笑むと。
「……神崎、悠ちゃん?」
瑠璃ちゃんが、不思議そうに顔を見上げていた。
私は瑠璃ちゃんのそばにしゃがみこんで目線を合わせながら。
「うん、そうだよ。瑠璃ちゃん、会えて嬉しい!ずっと待ってたんだ」
頭を撫でながらニコッと微笑むと、一瞬目を真ん丸に開いてから。
ガバッと私に抱き着いてきた。
「おっ!?」
突然のことで驚きながらも、すっごく可愛くて私もぎゅーっと瑠璃ちゃんを抱きしめる。
「悠お姉ちゃん!!お兄ちゃんの飼い主!」
……ん?
やけに日本語お上手ですね。
って、違う違う!
「飼い主!?」
「違うの?」
「……あぁ、そうそう!そうだよ!」
「やっぱり!いつもお兄ちゃんがお世話になっています」
「い、いえいえ。こちらこそっ……」
ちらっと玲央を見上げると、罰が悪そうにパッと視線を逸らした。
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