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玲央くん、君は一体私のことをどんなふうに説明していたんだよ。
あの曇っていた表情はこういうことだったんですか。
「さぁ、とりあえず中にどうぞ。瑠璃ちゃん、ちょっとお兄さんたちがたくさんいるけど、ビックリしないでね?」
「大丈夫!悠お姉ちゃんにくっついてる!」
「え、私何かでいいの?玲央じゃなくていいの?」
「うん!悠お姉ちゃん好きっ」
「わぁありがとう!私も大好きだよ!」
出逢って数秒で好かれるなんて、と思ったけど絶対に玲央がロシアに行ったときに何か言ったんだろうな。
後で事情聴取してあげないと。
バイトからまだ帰ってきていない大和と柚夢以外は、リビングで待っているように言っておいたけど。
たぶん、しっかり玄関での会話は聞こえている。
瑠璃ちゃんと手を繋いでリビングに入ると、ソファにいた煌、築茂、空雅に。
キッチンで料理をしていた日向が一斉に顔を上げた。
「紹介するね。この子が玲央の妹の瑠璃ちゃん。で、こちらが執事のハンディさん」
「こ、こんにちはっ…」
「お邪魔させて頂きます。皆様、どうぞよろしくお願い致します」
2人がそれぞれ挨拶をすると、煌がすっとソファから立ち上がって。
「春日井煌です。俺はお久しぶり、ですね。長時間の飛行機、お疲れ様でした」
「恐れ入ります。その節は大変失礼いたしました」
煌とハンディさんも、しっかり握手。
そして築茂と空雅、日向もそれぞれ自己紹介と挨拶をして。
「さぁ、まずはご飯にしましょう!瑠璃ちゃん、お腹空いてるよね?」
「うんっ!空いたぁ」
「お刺身って分かる?」
「うーんと、お魚!?」
「正解!好き?」
「大好き!」
「よかった、じゃぁまずは手を洗ってこようか」
「は~い」
な、なんていい子なんだこの子は!
「俺が、連れて行く」
玲央が瑠璃ちゃんと洗面所に行っている間に、私はハンディさんに向き直った。
「ハンディさん……瑠璃ちゃんも日本語、上手なんですね」
「はい。おばあ様に小さいころから日本のおとぎ話を聞かされていたので。日本語もしっかり勉強しておられました」
「す、すっげぇ……俺、日本の言葉もまともに分からねぇのにロシア語も日本語も話せるなんて」
「空雅からしたら次元が違うよね」
「次元、って何だ?」
「いや、何でもない」
これで、ハンディさんにもすぐに空雅がバカだということが伝わったな。
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