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カチ、カチ、と時計の針が時を刻む音しか響かないリビング。
バカが握るとシャーペンの仕事がなくなってしまうなんて、可哀想に。
「……なぁ、悠」
「なに」
「知ってるか?ロシアの高校生は『課題?そんなものないよ』って」
「ふーん」
「フランスの高校生は『課題…あるの?休みでしょ?休まないと!日本人は真面目だね。何、学校と契約して一体何になろうって言うの?』って!!」
「あっそ」
「カナダの高校生は『課題なんかないよ。日本はおかしい』って!そう、日本はおかしいんだ!!」
バシッ。
「いってぇ……」
「そんな意味のないことを知っているなら、少しはこっちの知識を頭に入れなさい。そんなおかしい日本にいる日本人なんだから、仕方ないでしょうが」
「そ、そんなぁ!」
学校が午前中に終わった私たちは、まだ大学やバイトが終わっていない煌たちを待つ間。
結局、空雅の全く終わっていない春休みの課題をする羽目になった。
愛花を呼ぼうとしたけど、『部活だから』とあっさりフラれた空雅。
げんなりするような、うざったい瞳で見つめてくるもんだから、もう投げやりで引き受けてしまった。
玲央は自室にこもって、漫画を描いている。
「ここの問題の答えは……」
もうめんどくさいから、答えを教えて書かせるだけにしよう。
これならすぐに終わるはず、なのにどうしてだろうね。
「はぁ!?何で金属っていう字も書けないの!?」
「だ、だってぇ……」
言葉で言うだけじゃまともな字が書けず、何度も中断する始末。
「ただいまー」
おかげで、煌たちが帰ってくる時間までに終わらなかった。
「おかえりー」
「あれ、何やってんの?」
「バカの課題」
「はははっ、相変わらずだねぇ」
ここに住んでいるわけじゃないけど、もうほぼ第2の家って感じだから慣れた手つきで冷蔵庫から飲み物を取り出す煌。
その後ろから築茂と日向が入ってきた。
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