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随分遅かったな、と。
めちゃくちゃ不機嫌でソファに横暴な態度で座っていた大和の顔には。
「ぷはっ!ど、どうしたのその顔!?」
ペンで思いっきり落書きされていて、帰ってきて早々、噴き出した。
どうやら悪戯っ子な笑みを浮かべている瑠璃ちゃんにやられたらしい。
ハンディさんが思いっきり顔を白黒させているし。
「いいねぇ、大和!すごく似合ってるよ。写メらなきゃ」
「おい煌!見せもんじゃねぇよ!」
「大和ー、写メ撮らせてくれるよね?」
私が近付いてにっこりとほほ笑めば、大和は顔を真っ赤にして。
「く、くそっ…」
あっけなく堕ちてくれた。
「鬼藤様、本当に申し訳ございませんでした」
「大和、ごめん。でも、水性ペン、だから。水で洗えば、すぐに消える」
「消えなかったら堪ったもんじゃねぇし!!」
「ぶはははっ!!大和、そのままでいいんじゃね!?しばらくそれでいろよ!」
「こんのバカザル、元はと言えばお前が言いだしっぺじゃねぇかよ」
「まさか本当にやるとは思わなくってさ~」
私は写メを撮れたことに満足して、冷蔵庫に買ってきたものを入れている日向に近付いた。
「沖縄そば、大和のに紅ショウガ入れちゃおうよ」
「あ、俺も同じこと考えてた!」
「やっぱり?日向も悪ですね~」
大和にはとことん腹黒い日向と顔を見合わせて笑った。
「悠、おかえり」
「柚夢!ただいま。瑠璃ちゃんとハンディさんにしっかり挨拶した?」
「あぁ、もちろん。明日はバーベキューなんだってね。なるべく早く帰るからね」
「うん!あ、お風呂溜めてもらっていい?」
「もう溜めてあるよ。あともう少ししたら入れると思うから、そしたら勝手に入らしておくよ」
「さっすが柚夢、細かいところにも気が利くね~」
「これでも元紳士ですから」
「現紳士の間違いだよ」
スーツから部屋着に着替えていた柚夢がキッチンに顔を出す。
これで全員が、そろった。
リビングからはまだ大和と空雅の黄色い声に、それを爆笑しながら見ている煌。
無垢な笑顔で楽しんでいる瑠璃ちゃんのそばで、ハンディさんも一生懸命笑いを堪えようとしているんだろうけど、全然できていない。
玲央はレイを撫でながらうたた寝をしているし、築茂は違う部屋でレポートでもやっているんだろう。
本当に、賑やかな家になったな。
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