第4恋

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私は二度と、恋愛はしないってこと。 「私のこと……好き?」 「お前、なんてこと聞いてんの?バカ?」 「いやぁー、本当に好きなのかなぁって」 「はぁ?何、俺の気持ちは全然伝わってないわけ?」 「いや、そういうことじゃなくて。もし本気なら、辛いだけじゃないのかな、って……」 「……」 あれ、また私は何か間違えたのかもしれない。 頭を抱えて盛大なため息を吐いた大和の様子を、黙って見ていると。 ぐらり。 背中には冷たくて堅い床、両手首は大和の手の下に敷かれていて。 身体は、大和に押し倒されていた。 「……あぁ、辛いよ」 やっと聞こえるか聞こえないほどの声に、ドクン、と嫌な脈が打つ。 緊張とか恥ずかしいとかはあまり感じない私だけど、心臓が痛くなるのはよくあることだ。 特に、大切な人の歪んだ表情を見たとき。 「悠の笑顔が俺だけのものにならないことが。悠を笑わせられるのが俺だけじゃないことが。悠の心が俺のものだけにならないことが」 ……やっぱり、人は恋愛をしてしまうと傲慢で独占欲が強くて嫉妬という、恋愛をしなければ絶対に生まれることのない。 私の大嫌いな感情を、持ってしまうんだ。 「だけど…っ…」 歪んでいた表情が一転、それすら愛しているかのような優しい表情になって。 「それ以上に……お前を好きでいると、幸せだと思うことがたくさんあんだよ」 幸せ……? 「お前の笑顔を見ると、すごく幸せな気持ちになる。ずっとずっと、この笑顔を守りたいって思う」 私の身体の芯のあたりで、何かよく分からない熱いものが揺らめいた。 ひたひたと潮のように押し寄せて来るものがあった。 どんな臭いセリフよりも、どんな綺麗な歌詞よりも、感情の波がうねる。 その感情の名前は、よく分からない。 「……好きだ、悠」 そのままゆっくりと、大和の顔は私の顔に近付いてきて。 今までにないような、心のこもった口づけを、落とされた。 .
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