第4恋

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さっきのセリフを普通の女の子なら、失神しちゃうくらい嬉しいんだろうな。 どうして私の“普通”は一般の人から見た“普通”と違うんだろう。 どうしてこんなに感じ方が、違うんだろう。 「……悠?おい、悠!」 「あぁ、ごめん。なに?」 「どうした、ぼーっとして。まさか、俺に見惚れてたとか?」 「うん、それもあるね」 「………」 え、何で驚くんだろう。 「もしもし?大和さん?」 「……お前ってさ、天才だよな」 「やっぱり何か変なもの食べたでしょ」 「ちげーよバカ!」 「まぁ何でもいいや。大和もお風呂まだでしょ?たぶんもうみんな出てるから早く入ってきて」 立ち上がって、畳み終わったタオルたちをぐいっと押し付ける。 渋々といった表情で受け取りながら、大きくため息を吐いて。 「はいはい」 お風呂場へと、向かった。 大和の背中を見送ってから私もほかの洗濯物を持ってリビングに入る。 ずっと賑やかな声が聞こえていたけど、どうやらトランプをやっていたらしい。 「あ、悠。お疲れ様」 「うん。瑠璃ちゃん、楽しそうだね」 「そうみたい。玲央の妹のほうが日本語もうまいし、きちんと人でよかったよ」 「それ、玲央に物凄く失礼だよ」 「ふふふ、本当のことじゃん」 相変わらずツンデレの柚夢はお風呂上りのせいで、まだ髪の毛が湿っている。 いつも思うけど、柚夢のお風呂上りの色気って尋常じゃないんだよね。 食器洗いをしていた日向に声をかけて、レモンティーを作ってもらった。 こく、と一口飲めばレモンの微かな爽やかさ、何となく詩美といったような味覚が漂ってくる。 リビングで一緒にトランプをする煌と玲央と空雅に、視線を這わせた。 築茂は相変わらずこういうのは苦手で、1人本を静かに読んでいる。 これが、当たり前の光景。 .
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