第4恋

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そんな私の考えが分かったのか、ハンディさんはくすくすと目じりにシワを寄せて笑った。 「ふふっ……神崎様は、以前お会いした時よりも分かりやすくなりましたね」 「えぇ!嘘ですよ」 「嘘などではありません。とても感情豊かになられたと思います。以前も魅力的でしたが、さらにその魅力に艶が増しました」 「ど、どうも?」 そんな言葉、聞きなれていないからどう返答していいのか分からない。 気恥ずかしいような、申し訳ないような、落ち着かない気持ちになる。 「瑠璃様はロシアに帰って来た玲央様を見たとき、大変驚いていました」 「え?」 「瑠璃様以外の前では、常に無表情で何を考えているか分からない方でしたが……それ以上に、笑っていたことに驚かれていましたよ」 「玲央が笑う?それはいつものことじゃ?」 「いいえ、神崎様に出逢ってからです。それまでの玲央様は決して人に感情を見せる方ではなかった。喜怒哀楽、すべてが無だったのです」 そういえば、前にもハンディさんは玲央が怒っていたとき、すごくビックリしていたっけ。 でもさっきだって玲央はかなり怒っていたし、その後すぐに悲しそうな表情にもなった。 「ですから本当に、神崎様には感謝しております。玲央様を孤独から救ってくださったこと。玲央様の感情に音を付けてくれたことを」 甘くて、セクシーな、笑顔。 心地いいハンディさんの声は不思議と、心に沁み渡っていくみたいだ。 「……だからどうか、いつまでも玲央様のお傍にいて下さい」 ズキン、心臓が痺れる。 「あなたの笑顔はみなさんを幸せにします。だからどうか、ずっと笑っていて下さい」 ドクン、脈が速くなる。 「もし生まれ変われるなら……私は神崎様と、違った形でお会いしたかった……」 ギリ、胸がえぐられる。 そんな…そんな、何とも言い表せないほどの悲痛で悲しげな苦笑を、見せないで。 これ以上、私に誰かを傷つけさせないで。 ハンディさん、あなたのことだって傷つけたくなんかない。 だから……もう、何も言わないで。 .
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