343人が本棚に入れています
本棚に追加
焼いても焼いても伸びてくる箸のペースは止まらず、大量に用意していたお肉も残り半分以下となっていた。
「悠~遅くなってごめん!」
「愛花!おつかれ、早く食べないとお肉、なくなっちゃうよっ」
部活で少し遅れてきた愛花に、お皿とお箸、ジュースを渡す。
「で、この子が玲央の妹の瑠璃ちゃんと執事のハンディさん。親友の青田愛花です」
初対面の3人はしっかり挨拶をして、愛花は早速お肉に食らいついた。
愛花が来てくれたことに空雅は舞い上がるかな、と思っていたけど。
案外普通にふざけながら笑い合ってるだけ。
「神崎様、私が変わりますので神崎様も召し上がってください」
「いえいえ、私は焼くのが好きなので。ハンディさんも遠慮しないでもっと食べて下さい!サルたちに食べつくされますから」
「しかし……」
「大丈夫ですよ!それに私、野菜が好きなのでこの後の野菜のためにお腹を空けているんです」
どこまでも執事の振る舞いを忘れないハンディさんのまだ綺麗なお皿。
ようやくお肉に満足し始めて、ピーチバレーを始めた大和と空雅がいない隙に、数枚のお肉を上げた。
「ん~、本当においしいね」
「悠、野菜は何から焼く?」
「やっぱりキャベツとピーマンかな」
柚夢はおいしさに感動、食べながら焼いていた日向の手には綺麗に切られた野菜たち。
ピーマンが嫌いな瑠璃ちゃんが少しでも食べてくれるといいな。
「日向、瑠璃ちゃんがおいしく感じるように焼く責任があるから頑張ってね~」
「うわ、なにそのプレッシャー!」
「だって言っちゃったもん。日向お兄ちゃんがおいしく焼いてくれるって」
「おいしく、ってどうやっても同じ味にしか焼けないけど」
「そこは日向の知恵と技術でどうにかするんだよ」
「あはは、さすが悠!」
白い目で私を見る日向の気持ちなんか知らずに、煌は思いっきり手を叩いて爆笑。
私もペロッと舌を出して、すぐに視線を外した。
.
最初のコメントを投稿しよう!