第4恋

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夕日が次第に低くなり、海が濃い藍色に変化していく時間帯。 瑠璃ちゃんが何よりも楽しみにしていた大量の花火を、袋の中から取り出した。 「初めてだからすごく嬉しい!!」 「そうなんだぁ。じゃ、いっぱいやろうね。でも火はとっても熱いから触っちゃダメだよ?」 「う、うんっ」 まずは無難な花火を取り出して、全員に配る。 大和と煌がライターに火をつけて、空雅が持っている花火に火をつけると。 一気に火がシャワーのように吹き出して、辺り一面を輝かせた。 「うわぁ!!」 「瑠璃ちゃん、空雅お兄ちゃんから火をもらおう」 瑠璃ちゃんの花火を持つ手を握って、一緒に空雅の花火に近付く。 しばらくじっとしていれば、瑠璃ちゃんの花火も緑色の火を放ち始めた。 「こうやっと、すんげぇキレイなんだぜっ」 誰よりもテンションが上がっている空雅は花火をハートや丸の形に振り回す。 キレイに花火の後が残って、瑠璃ちゃんはさらに目を輝かせた。 「空雅!あまり振り回しすぎんなよー」 「分かってるって」 煌の注意は効果なし。 「おっしゃ、この花火やりたかったんだよな」 「あ、大和。あまりぐちゃぐちゃにしないでよ」 「はいはい、ってか日向も片付けは後にして花火やろうぜ」 「うっわ、大和からそんなこと言われるとは思わなかった」 「日向気を付けなよ。こいつ、何かたくらんでる顔してる」 「ムウが代わりに相手しといて」 「えーやだよ」 「なんだムウ、そんなに俺と遊びたいのか?あぁ?」 「大和、喧嘩売ってるでしょ」 「喧嘩すっか?」 思いっきりビーチバレーをしていた大和は、ハーフパンツだけで上半身は裸。 その綺麗に焼けている肌には乾いた砂がついていて、絡まれそうになる柚夢は全力で逃げ回る。 普段はあんなに紳士的なのに、こうやって無邪気に遊んでいる姿がすごく好き。 .
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