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こうやって花火をしていると、去年初めて6人と同じビーチで花火をやったことを思い出す。
あれから1年近く経つなんて、この1年の中でいろんなことがあったせいか。
早いような気がするけど、まだ1年なんだって感じもする。
「悠、これをやってみろ」
去年のように火薬がどうちゃらこうちゃらと、論理的なことは言わずに1つの花火を差し出して来た築茂。
「ふふっ」
「なぜ笑う?」
「いやぁー去年とは全然違うなぁと思って」
「……人は常に成長するものだ」
「築茂の場合は、心が一番変わったよね」
「はっ、お前が変えたんだろ」
こうやって、何の迷いもなく笑顔を見せてくれるようになったことも。
もし私が関係しているのなら、すごく嬉しい。
「それならよかった。で、この花火は?」
「ネタバレしたらおもしろくないだろ」
「へぇ~そんなにすごい花火なんだぁ」
至って普通に見える花火を受け取って、ライターで築茂に火をつけてもらうと。
「うわぁ!!!」
その、至って普通に見えた花火は。
パチパチじゃなく、キラキラと。
火が、星に見えた。
「みんな!見て見て!」
あまりの美しさに大声を上げると、みんなも私の花火を見て目を見開く。
「なんだこれ!?めっちゃ綺麗じゃん!」
「でしょ~?築茂がくれたんだっ」
「いいなぁ~私もやりたかったんですけど!」
「築茂ー、愛花の分とかある?」
「この花火はこれ1つだけだ」
相変わらず、まだ愛花には無表情を崩さない築茂。
ちぇっ、とふてくされた愛花も、その綺麗な花火に心奪われていた。
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