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リビングからは築茂のどす黒い声と空雅の泣き叫ぶ声が飛んでくる。
そんな音を聞きながら、ふふっと笑いながら丁寧にお米を研いで。
隣では、日向がオニオンスープ作り。
もう私たちは、“仲間”から“家族”のような関係になっていた。
「……喉、乾いた」
「あ、玲央!お疲れ様。何飲む?」
「牛乳」
「これ以上、背伸びたらどうしようねぇ」
「ははっ!本当だ」
漫画を描いていた玲央が現れて、私はすぐに冷蔵庫から牛乳を取り出してコップに注ぐ。
くすくす、と私が笑えば、日向もくしゃりと笑顔を見せた。
玲央もちょっと恥ずかしそうに小さく微笑んですぐに、ぐいっと牛乳を飲み干した。
「ただいまー。はい、ケチャップ」
「ありがと、煌!」
「お、玲央。おはよう。そうだ、アイスも買ってきたよ」
「…やった、アイス」
「玲央、ご飯食べてからだよー」
「ん」
コンビニから帰ってきた煌が取り出したアイスに玲央は目を光らせるけど、すぐに日向に止められる。
それでも大人しく引き下がった玲央はやっぱり可愛いすぎる。
「じゃ、俺もムウたちが帰ってくるまで大学の課題やっておこっと」
「俺も、もう一息……頑張ってくる」
「うん、2人とも頑張って!」
それぞれ違う部屋に行った煌と玲央を見送って、米研ぎの続きを始めた。
「お、何かいい匂いがする~」
私はオムライスに入れる具材を切って、日向が香りのいいスープを作っていると。
「おかえり、大和」
「ただいまー」
ガソリンスタンドのバイトから帰ってきた大和がキッチンに顔を覗かせた。
「あ、今日こそは早く洗濯物出してよね!ガソリンスタンドの匂い、すごいんだから」
「分かってるって」
私に言われた通りに、すぐに大和はお風呂場へと向かう。
くすくす、と後ろから笑い声が聞こえてきて振り返れば日向が楽しそうに口角を上げていた。
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