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………冗談、でしょ?
「神崎先輩?生徒会長として、当たり前のことだと思います」
にっこり、と可愛さを武器に振り回す逢坂くんを目の前に、私は顔を引きつらせていた。
GWが終わり1週間が過ぎた今日、生徒会室では文化祭のために廊下に設置していたBOXの開票をしていた。
7日に、瑠璃ちゃんとハンディさんはまた近いうちに会おうね、と約束をして。
寂しさよりも楽しさが残った表情で手を振った瑠璃ちゃんたちが帰ってから、普通の学校生活に戻ったわけなんだけど。
まさか、こんなことになるなんて考えもしていませんでした。
「いやいやいや、ちょっと待ってよみんな。こんなのどう考えてもおかしいでしょ!これじゃぁ文化祭じゃなくて私が見せ物になるだけじゃん」
「でもそれを生徒たちの多くが望んでいるんだ。やるしかないだろ」
そんな真面目な顔でさらっと言わないでよ、樫村くん。
「先生!こんなのおかしいですよね!?」
「確かにちょっと理不尽だな。神崎1人と言うのは不公平にも当たる」
「ほらぁ!」
「だったら、参加する生徒を増やしてその中に神崎先輩を放り投げればいいってことですよね?」
ほ、放り投げるって。
逢坂くん、可愛い顔して何てことを。
「とりあえず、午後に体育館で行うプログラムはこれで決定しちゃいましょう!」
「あぁ、そうだな」
勝手に話を進める逢坂くんと樫村に、視線で脅しをかけてみるものの。
軽くスルーされて、意気消沈。
「……本当にやらないとダメですかね?」
「ダメです。もう決定事項です。生徒会長ともあろう方が生徒の願いを聞き入れなくてどうするんですか!!」
「今日の逢坂くん、すごく生き生きしてるね」
「そうですかぁ?別に僕は普通ですよ?」
「あ、あははー……」
助けを求めようと風舞先生を見れば、パッと思いきり視線を逸らされた。
うわぁ……担任で教師のくせに人でなし!
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