第5恋

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目の前にはちょっと落ち着きは取り戻したけど、怖い顔の大和と黒い笑顔の柚夢。 縋るように玲央の元へ行けば、冷めた瞳で睨まれた。 うっ……こ、心が傷ついたんですけど。 とりあえず、今ここで言ったとしても煌たちがいないんだし言うなら全員いる時がいい。 あとはそのシナリオの内容レベルにもよるな。 少しでも軽く簡単なもので、終わった後に支障がないものにして頂きたい。 それを決めるのは、図書委員会にいるコスプレマニア少女が決めてくれることになっている。 マニアだから、かなり本格的な台本が届きそうで怖いんだけど。 「マジでやんねーとダメなわけ?」 「私だって猛反対したけど押し切られたくらいだもん。先生たちまで勝手に許可しやがって。私もある意味被害者なんです」 「くっそう……何でお前、そんなめんどくせー生徒会長なんてやってんだよ」 「次はそこ!?」 へとへとになってソファに座り込んだ大和に容赦なく鋭いツッコミをしながら。 リビングにあった大和のご飯を温めて、テーブルの上に並べた。 「いただきまっす」 「どうぞー」 意外と礼儀正しい大和がご飯を食べ始めてくれたおかげで、少し気が抜けた。 まぁ、その間にも柚夢の黒い笑みと玲央の痛い沈黙は消えなかったけど。 とりあえず、この3人にはコスプレをするってことに関してお許し頂けたってことにしよう。 「6月25日って土曜だよな?すぐに休み取るから逃げられると思うなよ、悠」 「……はい、逃げません」 「悠、あとさぁ。途中結果もしっかり報告してよね?何のコスプレをするのか、いくつ出るのか、決まったことに関しては漏れなく言うこと。分かった?」 「おーけーおーけー」 これでも心の中は冷や汗だらだらだったりする。 だって今のはつまり、シナリオのこととかも言わないといけないってことだもん。 言わずにいて本番の日に知られたら、おもしろいことになりそう。 ……いや、そっちで考えちゃいけないですね、真面目に考えないと。 ま、今は何とか誤魔化せてるからそのうち全員がいるときにでもさらっと言ってやろう。 そう心に決めて、私はお風呂に入るために洗面所へと入った。 .
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