第5恋

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コスプレマニア少女のあの目を見た限り、嫌な予感が消えそうにない。 「ナース、メイド服、幼稚園生、スチュワーデス、OL、婦警、チャイナ服、女教師、魔女っ娘、和服、チアガール、忍者の計12個から1つ選んでください」 ……読み上げながら思ったけど、かなり幅が広いというか、かなり本格的なんですけど。 「ただし、すべて4つずつしかコスプレがありません。早い者勝ちになるので注意してください。今日この場で決めてもらって、決まった人から服のサイズと一緒に報告をお願いします」 職員室に台本をコピーして来てくれた2年生の生徒会役員から受け取って。 白い紙と一緒に、1人1人に配った。 「台本の内容をよく見て決めてもいいし、単純にやりたいコスプレをするのもいいと思います。では、5時30分まで時間を取りますね」 配り終えて、私は教壇にあった先生用のイスに座り私も台本の中身を見つめた。 目の前にずらりと座る生徒たちはすでに放送で知っていると思うんだけど。 私は1つだけではなく、最低3つはコスプレをしないといけない。 だからなんだろうけど、こんな質問が飛んできた。 「神崎の分はカウントされるのか?」 確か隣のクラスの野球少年で、がっちりとした体型をしているからお世辞にもコスプレ向けとは思えない。 「いや、私の分はカウントされていないから気にせずに選んで」 こいつらの心の声はすべて聞こえている。 私にやってほしいものは1つずつ残しておかなければいけないと思ったんだろう。 残念ながら私はすでにナース、メイド服、婦警は絶対にやらなくてはいけないらしい。 とりあえず先にその3つの台本を読んでみたのはいいんだけど。 「……マジかよ」 あまりにもピンク色の内容に、自分がこれをやるんだという実感が今になって湧いてきた。 コスプレしてちょっと演技すればいいと軽く考えていたけど、この内容はそう簡単に考えていいものではない。 これをやるっていうことを、どうやって彼らに説明すればいいんだろう。 む、無理だ……言った時のことを考えるだけで食事3日分は食べられなくなりそう。 .
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