第5恋

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ちらっと生徒たちの顔色を窺って見ると、数少ない女子生徒はすぐに決まったらしく。 口をそろえて、『幼稚園生』または『チアガール』と言ってきた。 確かにこの2つの台本を見てみると、他のものに比べて至って普通だ。 それに女子としてチアガールはそこまで恥ずかしいものではないらしい。 幼稚園生とチアガールが3名、忍者が1名、スチュワーデスが1名で女子は終了。 問題は男子生徒たちで、まだ誰一人決まっていないらしく、頭を悩ませていた。 結構顔の可愛い子や、男子にしては筋肉が薄い子もいる。 台本の内容すべてに目を通してみたけれど、結構温度差がありすぎやしないか? ひそひそと話し始めた男子軍団は、お前これやれよ、お前がやれよ、とじゃれ合い始めた。 確かにこれは男子がやったら最高におもしろいに決まっている。 私のコスプレが男子のコスプレに埋もれてくれることを期待しよう。 「5分前になったので、まだ決めていない人は急いで報告をお願いします」 最後の最後まで悩んでいた男子生徒の報告が終わり、結果をまとめてみると。 「ナース2名、メイド服2名、幼稚園生4名、スチュワーデス4名、OL3名、婦警3名、チャイナ服4名、女教師0名、魔女っ娘4名、和服0名、チアガール4名、忍者4名となりました」 うん、女教師と和服が0名の理由はよく分かるよ本当に。 「それでは明後日の放課後に家庭科室に集まって下さい。サイズの確認と順番をくじ引きで決めます。演技の練習も個人で頑張ってくださいね」 とか言いながら、私が一番頑張らないといけないだろうなぁ。 そんなことを思いながら生徒たちが教室から出ていく様子を見ていると。 「神崎せ~んぱいっ」 にんまりと、気持ち悪い笑みを浮かべてゆっくりと近付いて来た逢坂くん。 「な、何?」 「何か、気付きませんでした?」 「いや全く何も」 この顔は何かよからぬことを企んでいるのは一目瞭然。 思いっきり逢坂くんから視線を逸らして、逃げようと席を立った。 .
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