第5恋

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が。 「逃げようとしても無駄ですよ、神崎先輩?」 あんなに可愛い顔のどこにこんな力があるんだと思わせるくらい、力強く手首を握られた。 「女教師と和服のコスプレが0名でしたよねぇ?」 「そ、それがどうしたの?」 「このコスプレを見たい人もいるんです。やらないのはその人の楽しみを奪うことと一緒ですよ?」 「そのー……一体それはどういうことでしょうか」 「分かってますよねぇ?神崎先輩、あなたがやるに決まってます」 ……あぁ、これ以上私を苦しめないでおくれ。 「あははー逢坂くん。寝言は寝て言おうか」 「神崎先輩こそ寝てないでしっかり頭を回転させて下さいよ。生徒会長のあなたが生徒を喜ばせられなくてどうするんですか?」 「うっ……」 な、なんて卑怯な後輩野郎なんだ。 あんなに可愛くて優しくいい子な、私の知っている逢坂くんはどこにもいない。 「他の生徒会役員も首を縦に振ってますよ?」 そう言われて、後ろにいた他の生徒会役員たちに視線を送ると。 苦笑して頷いてる人、思いっきり頷いている人、笑っている人と様々だったけど共通しているのは。 私に拒否権はないと、目が言っていること。 「神崎、ドンマイ」 「……樫村、お前が生徒会長になればよかったのに」 「そんな恐ろしいこと俺にはできないな」 うちの生徒会役員は生徒会長様に厳しすぎやしないか? 私はいつから後輩の言いなりになってたんだろう。 「それでは決定ですね。神崎先輩は合計5つのコスプレをしてもらいます。大丈夫ですよ、きちんと着替えが回るように順番を決めればいいんですし」 「いやぁ~そういう問題じゃないような気が」 「さぁ、早く風舞先生に報告をしに行きましょう。明日から準備で忙しくなりますからね!」 言いたいことを言ってさっさと教室を出て行った逢坂くん。 私はまぁいっか、といつものようにすぐに気持ちを切り替えられずに。 慌てて職員室へと向かった。 .
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