第6恋

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初夏の空が青く澄んで絹のように光るこの日。 気付けば沖縄には夏本番の焼くような熱気が立ち込めていた。 外の日差しに当たっているだけでも熱中症になるんじゃないかと思わせるほどの暑さの中。 さらに見ているだけで熱くなりそうなほどに、学校中は多くの人で賑わっていた。 「か、神崎会長!一緒に……写真、撮ってくれませんか!?」 「あぁ、もちろんいいよ!」 まだ午前中でこの暑さなら、午後はやっぱり体育館の中でよかった。 体育館の中なら大型扇風機がいくつもついているし、日に当たらないからまだ涼しいはずだ。 「あっ悠~!!こっちこっち!」 大声で私の名前を呼んだのは、体育着で頭にはタオルを巻いてモクモクと煙の中で手を振っている空雅。 「空雅、頑張ってる?」 「もっちろん!でも俺も見て回る方にすればよかったぁ。どこもうまそうなんだもん!」 文化祭当日の今日、午前中は予定通りクラスで出し物をする人、見て回る人に分かれてそれぞれが楽しんでいた。 私たちのクラスはたこ焼き屋と射的を出している。 もちろんお金も取るわけで、出し物をした人にはその収入が入るというわけ。 だからお金が欲しいがために、空雅は真っ先に名乗りを上げたのだ。 そんな中、私たち生徒会役員は不審者、万引きなどが出ないように見回りをしている。 『う、嘘!?あの人って!!』 『きゃぁー!めっちゃイケメンの人がいる!!』 『芸能人か?』 突然、人の声が黄色いものに変わったと思ったら。 「やぁ、My Princess.元気にしてたかな?」 「……遼さん!来てたんですね」 「Sure!こんなときじゃないと、中々君に会えないからね」 遼さんからは頻繁にメールや電話は来るけど、私が忙しいせいでこうやって会うのはあの時以来だ。 .
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