第6恋

4/26
前へ
/842ページ
次へ
そしていよいよ、午後の部。 うちの高校の体育館は大きいほうだけど、やっぱり全校生徒と一般客が入るとすごい。 予想以上の大勢の人に、電気が走るように身体が痺れてきた。 まず最初は男装女装コンテストからで、女子の男装から始まる。 イコール、私の出番もすぐなわけで。 準備に追われていて、まだ7人とは会っていないし来ているのかどうかも分からない。 携帯は怖くて見る勇気がないからどうなっているか、考えただけでも恐ろしい。 舞台袖から体育館全体をちらっと見てみると、バンド関係の人、他校の知り合い、大学生など。 知っている顔が思っていた以上に多くて、冷や汗が半端ない。 「か、神崎先輩……!カッコ良すぎます!!!」 「あぁ…どうも」 「写メ撮らせて下さい!!!」 舞台袖にいた生徒会役員や文化祭実行員会の女子たちは、目をハートマークにして携帯を向けてくる。 サービスで、肩に腕を回して一緒に写メを撮ってあげると失神しそうな勢いで叫ばれた。 私の男装は、ちょっとチャラいけど無愛想な男子をイメージ。 うちの高校はブレザーだから、あえて学ランをチョイスした。 ボタンは全部開けて、Yシャツも上から2つは開けている。 ちょっといかついネックレスとピアス、髪型はジャ○ーズ系にセット。 眉毛を凛々しく書けば、一応男に見えなくもないと思う。 「か、神崎……やっぱりお前って男でもかなりカッコいいよな…」 私の姿を見た樫村はちょっとショックを受けた表情で顔を引きつらせた。 「そこらへんの男よりもずっとカッコいい!さっすが神崎先輩!でも僕はちょっと複雑……。僕よりずっと男らしいんですもん」 逢坂くん、そうやって唇を尖らして子犬のように肩を落とすから可愛いんだって。 「本番10分前でーす!」 司会者の声を受けて、私たちはそれぞれ気持ちを切り替えて持ち場へと移動した。 .
/842ページ

最初のコメントを投稿しよう!

343人が本棚に入れています
本棚に追加