第6恋

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出番を終えたら、出てきた舞台袖とは反対の舞台袖に戻る。 まだ止まないソプラノで刺すような悲鳴を背中で受けながら、ほっと息を吐くと。 「悠!!お前、マジやべぇ!!!」 「……え、もしかしてもしかしなくても空雅?」 「そうだぜ!俺、可愛くね!?」 男装をしている女子が待機している舞台袖とは反対のここには、女装をしている男子が待機していた。 そして声は空雅だけど、見た目はかなり可愛い女の子……でもないな。 だってこんな身長の高い女子はいないでしょ。 「まぁ、顔は可愛いけどやっぱり気持ち悪いね」 「き、気持ち悪い!?またまたぁ、照れちゃってっ」 おえぇぇ、ぶりっ子してウインクなんか飛ばして来やがったよコイツ! 「ってか悠……お前、マジでやべーわぁ」 「あはは、私結構これ好きだな。コスプレじゃなくて男装ならいくらでもやりたい」 「いやいやいや、それもダメダメダメ!いくらカッコいいって言っても、やっぱり可愛いし……っていや!そういうことじゃなくてっ…」 「ぶはははっ!何焦ってんのさ。でも私、男装の最後にもう一回出ないといけないから、着替えてくるね~」 「は!?また違う格好して出んの?」 「いえーす。じゃ、また後でね」 他の男装をしている女の子たちのステージも見たいところだけど、時間がないから早くしないと。 女装をしている男子たちから声をかけられながら、体育館裏にある女子更衣室に直行。 いやぁ、逢坂くんの女装を見たときはビックリしたね。 あれは普通に女の子っていうか、私よりずっと女の子らしくて可愛かったわ。 そんなことを考えながらもぱっぱと着替えて、髪もセット。 2度目の登場だから全然違う雰囲気にしてみたくて、煌と築茂を混ぜた男子をイメージ。 黒のスーツに淡い緑のネクタイ、細い眼鏡をかけて髪型は黒髪だけど柔らかい質感のウィッグ。 インテリ系だけど、築茂みたいに堅い雰囲気じゃなくて煌みたいに爽やかさを出してみた。 実はと言うと、さっきの男装は思いっきり大和と空雅を混ぜたやつ。 やっぱり近くにいる男子をイメージするのが一番手っ取り早いと思ったからね。 たぶん、みんな気付いてると思うけど。 .
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