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女装のトップバッターは緊張MAXの逢坂くん。
普段は可愛いくせに毒を吐く奴だなとか思うけど、こういうときはやっぱり素直で可愛い。
それに、周りの女装男子を見ても明らかに逢坂くんに勝てる人はいないから、完璧に逢坂くんが優勝だろうな。
私の予想通り、女子からも男子からもすごい人気の声を受けて照れながらもホッとした表情の逢坂くんが帰って来た。
「お帰り、逢坂くん!すっごく可愛かったよ!!」
「あぁー……緊張しました。でも楽しかったですっ」
「……やばいっ可愛いっ!!」
「うわっ」
お人形さんのような可愛さの逢坂くんに私は我慢できず、思いっきりハグをしてしまった。
「か、神崎先輩……ぐ、苦しいです…」
「あぁ!ごめんごめんっ、可愛くてつい!」
「ついって……はぁ………先輩、もし僕が女装コンテストで優勝したら1つだけ、お願い聞いてもらってもいいですか?」
「もっちろん!こんな可愛い逢坂くんのお願いなら何でも聞いちゃうっ」
「……言いましたね?約束ですよ?」
「はいはーい!」
この時の私は、普段よりずっとテンションが上がっていたせいで逢坂くんの不吉な笑みに気付かなかった。
「悠、もう俺の番だからな!よーく見ておけよ!」
「早っ!もう最後なんだぁ。もちろんしっかり見ておくからステージでこけたり、セリフ噛んだりすんなよ~」
「おいおい、誰に言ってるんだよ!この空雅様だぜ?絶対メロメロにさせてやっからな!」
「健闘を祈ってるよ」
確かに、空雅は顔“だけ”可愛い。
でもねぇ……身長181㎝にあのゴスロリスカートはないでしょう。
足出すならすね毛までしっかり剃らないと、気持ち悪いだけなんだけど。
まぁ、空雅の女子人気は確かだし男子の友達も多いからそれなりに笑いに変えられるだろうな。
「いよいよ男装女装コンテスト、最後の出場者となってしまいました……このコンテストのトリを飾ってくれるのは……こいつだぁぁぁ!!」
『キャァー!!!』
『おぇぇぇ!!よっ!さっすが空雅!!』
『ぶはははははっっ!ちょーウケる!』
はい、予想通りでした。
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