第6恋

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無事、男装女装コンテストは終了し優勝者は文化祭の一番最後に発表される。 「連絡します。数学パズル大会に出場する生徒さんは15時までに体育館舞台袖に来て下さい。尚、準備が整うまで男装女装をした人と写真撮影をしたい方は14時50分までとします」 あぁ……そうだ、写真撮影もサービスでしないといけないんだっけ。 10分くらいしかないからぱっぱと撮らないと大変なことになりそうだ。 『す、すっごくカッコよかったです!!』 『ファンになりましたっ。神崎さん、大好きですっ』 『ふぁ~……神崎悠さんとのツーショット……死ぬぅ』 いいねぇ、女の子にモテるってこんな感じなんだぁ。 絶対私、男に生まれた方がよかったんじゃないかとつくづく思うよ。 女子のファンが多かったおかげで男は誰一人近寄ることは出来ずに、彼らが顔を出すこともなかった。 っていうか、すっかりあいつらのこと忘れてたけど全部見てた……いや、まだ来ていないかもしれない! 来ていないことを願っておこう。 写真撮影が終わったら、私は次の数学パズル大会への準備へと急いで取り掛かった。 早着替えでいつもの制服、髪の毛はちょっと汗をかいたから高い位置でポニーテール。 「続いては、3年D組ペンネーム『ぽん太ごん』さんから各学年の優秀頭脳を持つ生徒への挑戦、数学パズル大会です!!!」 ぽん太ごん……あの生意気眼鏡に似合ってる名前だこと。 司会者が、ステージ上のパイプイスに座る私を含めた計9名の紹介が終わると。 左側に設置されていた大きなスクリーンにルール説明などが映し出された。 「ルールのほうはお分かりいただけましたでしょうか?問題は全5問、一番多く正解した方にはぽん太ごんさんから素敵な賞品が贈られます」 とまぁ、こんな感じで数学パズル大会は進んでいき。 確かに結構な難問だったけど普段、築茂が読んでいる本を聞きたくもないのに聞かされている内容よりはずっと簡単で。 「なんと……全問正解したのは、神崎悠さんです!さすが生徒会長、素晴らしい頭脳をお持ちでしたっ」 最初から期待していなかった賞品も本当に大したことのない、超難関大学の数学試験の問題集だった。 数学パズル大会も片付けられ、いよいよ最大の試練が立ちはだかる。 ステージの準備は生徒会役員たちに任せて、着替えるために急いで更衣室へと向かった。 .
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