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いつの間にか、空雅は新担任の話をし始めるし。
それを眉間にシワを寄せて聞いている大和と築茂は感覚がおかしいと思う。
「で、俺たちの音楽の話をしたらアキラっち、めっちゃ感動してたぜ!な、悠?」
「あーそうだっけ?よく覚えてない」
「はぁ!?アキラっち、なんだかすんげぇ悠のこと最初から見てたけど。てっきりフランスのこととか知ってるからかと思ってたんだけどな」
そんなの興味ないんですけど。
「でも前の担任の先生はどうなったの?前、すごく心配してくれてたじゃん」
「うん、1年生の担任になったみたい。あの嘘つき野郎。今度会ったら一言文句言ってやらないと」
不思議そうな煌に、私もちょっと拗ねて元担任の顔を思い出した。
「でも悠さー、あの隣の席の奴にめっちゃ懐かれてなかったか?」
「ちょっと空雅、それ詳しく聞かせて」
あぁ……柚夢の目つきが変わっちゃったよ。
「笹宮陽斗、だろ?バスケ部ですごいらしいな」
「うん。でもめちゃくちゃ素直でいい子。なんだか天使みたい」
「そんな奴、現実にいるとは思えないな」
「悠、何もされてないよね?」
冷めた口ぶりの築茂に、ムウの誘導尋問が始まりそうになる。
私はもちろん、と必死に首を縦に振って笑って見せた。
「ま、悠を本気で好きになる奴なんて、相当自分に自信がある奴だろ」
「大和、それ自分のこと言ってるんじゃない?」
「おい日向、俺だけじゃなくてお前ら全員のことを言ってんだよ」
……うん、もうこういうのにも慣れましたね。
「はい、ごちそう様!食べ終わったことだし、早速動画撮る準備するよ」
雰囲気を変えるために、私は食べ終わった食器を流しに運んだ。
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