第6恋

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私の前の3人が無事に終わり、爆笑の声が治まらない中。 「さぁ、ついに!!みなさん、パンフレットを見てさぞかし一番期待していたことでしょう!!婦警のコスプレをしてくれる最後の人は……この方だぁぁ!!!」 司会者に変なプレッシャーをかけられたことを内心恨みながら。 ちょっと高いヒールのせいで転ばないように、慎重にステージへと足を踏み出した。 『う、うわぁ……』 『嘘…だろ……やば、いんだけど…』 『キャァァァァ!!かっ可愛いっっ!!』 『ぶほっ!』 あははー、体育館全体が騒然とした空気に包まれているんだけど。 私のコスプレのどこに、そんな衝撃を受けるようなものが……いや、気持ち悪いっていうのはあるか。 「婦、警の…えー…婦警の最後にと、登場してしたのは……すいませんっ!!司会者、かなりの動揺でうまく口が回っていません!!!」 さっきまでの勢いはどこに行った、と言わんばかりの司会者に私は微笑みを向けて。 口パクで『頑張れ』とエールを送ってあげた。 「ふぅー……はい、大変失礼いたしました。最後に登場したのは、さきほどの男装でも素晴らしいステージを披露してくれた、神崎悠生徒会長です!!」 キャー!!という絶叫を全身で感じながら、ステージの真ん中で一応ポーズ。 「それでは、どんな演技をしてくれるのでしょうか!?美しすぎる婦警に酔いしれちゃってください!」 ステージの前方にあるスタンドマイクからマイクを抜き取って、左手におもちゃのピストルを持つ。 セリフはばっちり覚えているけど、大して練習なんかはしてないしアドリブで好きなようにやっちゃおうかな! 「そこのあなた!手を上げなさい!」 ステージのすぐ下に座っていた後輩の男の子に向かってピストルを向ける。 男の子は訳が分からないとでも言いたげな顔で、ビクビクと手を上げた。 「今、どこを見てたのかしら?スカートの中を写真に撮ろうしたわね?盗撮という言葉を知らないの?これは犯罪よ!!」 動画や写真を撮っている人たちからは、もうピンク色のオーラがムンムンと出ているんだけど。 この後に罵られるのを期待しているのか、許されるのを期待しているのか。 .
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