第6恋

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なんて考えなくても、私はドSだから方向性は決まっている。 「……ふふっ、冗談よ。こんなことじゃ打たないわ。……え?なぁに?その、『打たれたかった』っていう顔は」 一度、ピストルを降ろして見下すように鼻で笑う。 小さな悲鳴や息をのむ音がはっきりと聞こえてきた。 「仕方ないわねぇ……打ってあげるわよ」 はぁー、と大げさにため息を吐いた後に、ピストルを持っていた左手を真っ直ぐに上げて。 「あなたのハートを、ね?バキュンッ」 『キャァァァァァァ!!!』 うっわぁ……ちょー恥ずかしいってところじゃないんだけど。 私は真っ赤になっているであろう顔を腕で隠すように覆って、司会者の言葉を待った。 「な、なんというクオリティの高さ……さすが神崎会長と言うべきでしょうか!それにしても神崎会長!どうですか!?今のお気持ちは!」 「……めっちゃ、恥ずかしいです」 素直にそう言うと、さらに会場全体がピンクに包まれたような気がする。 男装の時と違って会場は明るいから全体を見てしまったら、すぐに彼らを見つけてしまいそうで。 終わるまでいるかいないかも分からない彼らと絶対に視線が合わないように、司会者とステージに視線を向けていた。 「いやぁ……本当にここにいる全員が神崎会長にハートを打たれてしまいました…っ!」 「ありがとうございまーす」 「一般生徒は1人1役なんですが、神崎会長はこの後もまだまだ登場して頂くということですよね!?」 「……はい。頑張ります」 「楽しみですが心臓が持たないんじゃないかと今から心配になっている私です。きっと、会場のみなさんも同じ気持ちの方が多いと思います!」 「鼻血出して倒れるようなことだけにはならないように気を付けて、楽しんでくれれば嬉しいです」 「はははっ!本当にあり得そうなので、みなさん気を付けて下さい!それでは神崎会長、ありがとうございましたぁー!」 何とか最後はみんな笑ってくれたし、恥ずかしさも紛れたかもしれない。 この調子で残り4つも頑張らないと!! .
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