第6恋

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舞台袖に戻るとすごい反響で、意外と恥ずかしさよりも達成感のほうが大きかった。 やっぱり、どんなことも羞恥心なんか捨てて全力でやると楽しいんだなぁ。 順調にコスプレファッションショーは進んでいき、次は私1人の女教師。 「さぁ!続いてのコスプレは……女教師!!しかもなんと!たった1名のみのコスプレですっ。女教師を演じてくれるのはやっぱり……この人だぁぁ!!」 物凄い歓声の中、再度飛び出したステージ。 シンプルに黒の女性スーツに黒縁眼鏡、髪は後ろでキレイにまとめた。 いかにもデキそうで、ちょっと厳しそうな女教師をイメージ。 仕上げはやっぱり小物のクリアファイル。 「おはようございます、みなさん。昨日出した課題はすべて終わりましたか?まさか……終わっていない方がいるんですか?」 司会者の紹介が終われば、早速演技へと入る。 もうさっきまで感じていた羞恥心や緊張なんてものはどこにもなく。 私が一番、このステージを楽しんでいた。 「へぇ……私の出した課題が出来なかった、と?そんな悪い子にはお仕置きをしなければいけませんねぇ?」 眼鏡をくいっと上げて、目を細める。 光喜の瞳を向けてくる男子がいるんだけど……うん、いいこと思いついた! 「そこのあなた、ちょっとこちらにいらっしゃい」 『え、お…俺!?』 「課題を終わらせていないのに、私を待たせる気ですか?早くいらっしゃい」 突然の無茶ぶりに内心可哀想だな、とか思いながらも私はこういうのを振るのが好きだからかなり楽しい。 同じクラスの男子がステージに上がったことを確認して、マイクの電源を一度切る。 「今から私が何を言っても、すいません先生、って答えてくれればいいから」 「う、うん…っ」 小声でそう伝えて、女教師神崎悠へとスイッチを切り替えた。 .
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