第6恋

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次は、和服。 結構時間はあるけれど、和服ってなると着るのに手間がかかる。 だからあまりゆっくり休んでいる暇はなかった。 水分補給だけはしっかりして、放置状態の携帯には一切手をつけず。 ちょっと休憩していたお気に入りの体育館倉庫の上から飛び降り、更衣室へと向かおうとしたら。 見覚えのある姿を、見つけた。 深緑の綺麗な長髪に落ち着いた雰囲気で、壁に寄りかかりながら空を見上げているのは。 「櫂、さん……?」 ぼそっと呟いたつもりが、思っていた以上に驚きで声が大きかったらしい。 櫂さんも目を見開いて、私を見つめていた。 「櫂さん、ですよね?どうしてここに……」 「神崎さん……えーっと、実は友人に誘われて私も文化祭に来てたんです」 「そうだったんですか!?」 うっそ……ってことは、バッチリ今までの痴態を見られていたってこと? 相変わらず優しげな目つきで、丁寧な対応をする櫂さんを目の前にすると、急激に恥ずかしさが込み上げてきた。 「……いやぁ~来て頂いてありがとうございます。それなのに、あんなものをお見せしてしまって、すいません」 「どうして謝るんですか?とても盛り上がっていて、素敵な学校ですね。まだ、ステージに立つのでしょう?」 「あ、そうだった!すいません、そろそろ準備しないと間に合わないので!」 「あぁ……はい。頑張ってくださいね」 「ありがとうございます!最後まで楽しんで行って下さい!それではまたっ」 時間が迫っていることに気付いて、櫂さんとの会話を無理やり終了。 何となく、櫂さんの雰囲気に違和感を感じて居心地が悪くなったから、私は逃げるようにしてその場を去った。 .
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