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そんな私の心の声は口に出すことも顔に出すことも出来ずに、必死に耐える。
「ご主人様を嫌いだなんてっ!!そんなこと、絶対にあり得ません……私はただ、心配で……。ご主人様が倒れてしまったらどうしたらいいか………」
萌えるメイド服を着ているのに、健気な発言がさらに萌えるだって。
言葉の意味も男心も全く理解できないんだけど。
「私はご主人様を心からお慕いしております。1人占めしたい……なんて思ってしまうんです。あっ…も、申し訳ありません!!私、余計なことを……」
神崎悠だとしたら、絶対に思わないようなことなんだけどね。
「私は永遠に、ご主人様のお傍におります」
そう言って、これまでで一番の笑顔を作ると。
一瞬の静寂が体育館を包んだ後すぐに、花に群がる夏の蜂のように、一斉にうぉぉぉぉ!!っと歓声が挙がった。
物凄いフラッシュの数で目を開けているのが辛くなり始めたころ。
「……あ、ありがとうございましたー!!!」
ようやく、司会者がバトンを受け取ってくれた。
いつものように司会者の言葉に笑いで返して、最後に「にゃぁ~」と言いながら猫のポーズをするサービスをしてみれば。
それはもう、ちょっとサービスをしすぎたらしい。
複雑な感情を抱えながら手を振り、ステージから舞台袖に戻るときに。
体育館の真正面玄関以外にある、両サイドの4つの扉のうち、左の後ろの扉から。
真っ直ぐ私だけを睨むようにして見る、“彼ら”の視線と。
一瞬、本当に一瞬。
合ってしまったことは。
なかったことに、したい。
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