第6恋

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てっきり、あの流れから行くともう遅いから車で送って行く、とかまた言われるかなと思っていたけど。 案外、すんなりと逃げられたからやっぱり先生も相当お疲れなんだろう。 そんなことを考えながら、昇降口に向かう間に携帯をカバンの中から取り出した。 「あれ?」 画面が明るくなるはずのボタンを押しても、なぜか明るくならない。 電源が切れているのかな、と思いボタンを長押ししてみたら付いたけれど、すぐに。 『充電して下さい』 と、画面に文字が現れてプツッと再び画面が暗くなった。 いつも、家を出るときは充電は満タンのはずなのに電源が切れているっていうことは………。 電源が切れるほど、電話やメールがあったとしか考えられない。 今のスマホはとても便利だけど、すぐに電池が無くなる。 だから常に満タンにしていないと、連絡が取れなくなった時に本当にめんどくさいことになるんだよね。 「うわぁ……やばいな、これは」 思わず漏れた、本音。 朝から今の今まで一切携帯に触れていなかったこともヤバイし、あの演技を見られたこともヤバいし。 今、連絡が取れないこともヤバい。 いや……でもこれは、あいつらが呆れるほどの連絡をしてきたせいで起こった事態だし、私は悪くない! 学校関係の人間に私と大和たちが一緒に暮らしていることが極秘なのは、彼らもよく分かっている。 だからたぶん、もう学校にはいないだろうけど、家に帰ってからのことが恐ろしい。 すでに時刻は夜の8時を過ぎているし、今から電車の時刻とかも考えたら普通に9時は過ぎる。 遅くなるっていう連絡もできないわけだから、私は今かなりのピンチ状態にいるわけだ。 「あー……帰りたくなーい」 明日は日曜日だし、絶対に全員集合しているような気がするしなぁ。 全員集合している中に何の武器も持たずに入ったら、どうなることやら。 でも心配させて余計にめんどくさくなることも嫌なんですよ。 .
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